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備忘録ードナルドキーン

恥ずかしくなってしまう…。戒め。
自身で出来ることを続けること。続けられていることを続けること。
小さくても行動。なんどでもなんどでも思い出すこと。



トップが「互助」示せ

70年以上日本を研究し、昨年、日本に帰化した日本文学者のドナルド・キーンさん(90)は、トップが率先して行動することが愛国心を育てると考えている。

 ◎国内外の違い

 「日本人は愛国心が弱い」という人もいますが、私は表面的なことだと思っています。日本人が五輪で金メダルを取ると、テレビで見ている人も誇らしい気持ちになる。一種の愛国心の表れですね。

 愛国心には2種類あります。国内にいて感じるものと、外国に行って気づくものです。日本にいる間は矛盾や欠点が見え、「日本はもう駄目だ」と口にしてしまう。国内で感じる愛国心は弱いのです。しかし、外国に行くと、食べ物がおいしい、水がきれいと、日本の良さが見えてきて愛国心は強くなる。これはどの国民にも当てはまる現象です。

 ただ、日本人の場合、行動が欠けていると思います。東日本大震災で東北はあれだけの被害を受けた。工場がつぶれて働く場がなくなり、自殺者まで出ているのに、今では募金活動も少なくなった。お金がないわけではありません。年末年始の海外渡航者の数を見てください。

 私は、日本国籍を取るまで、日本のことを悪く言ったことは一度もない。しかし、今では日本人としての責任があるので言わせていただきます。愛国心はあっても、助け合いの形になっていない。

 ◎苦しい時こそ

 現在、宮城県東松島市では、高台に復興の森を作り、学校を建設する計画を進めています。中心となっているのは、作家で環境保護活動家のC・W・ニコルさん。帰化して日本人になった英国人です。

 そういうことをしている日本人がどれだけいるでしょう。原発の是非が議論されていますが、今の東京で電力を節約する運動は見あたりません。海外旅行のお金を、1割でも東北の人に寄付してはどうですか。私はできる範囲で、喜んで寄付を続けています。

 苦しい時に助け合える、そこまでできる愛国心が必要です。昔の日本人にはそういうところがありました。

 私は経済は素人ですが、大企業が東北にもっと工場を造ったり、企業の幹部が自ら寄付した上で、社員にも寄付を呼びかけたりできるのでは。政財界のトップが率先して手を差し伸べて手本を見せる。愛国心を育てるというのは、そういうことだと思っています。(聞き手・小寺以作)
(2013年2月16日 読売新聞より抜粋)

by mono-prints | 2013-03-11 02:31 | 日々
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